ココロって何だっけ?

精神医学・心理学Ψ・哲学Φをベースに様々な"ココロ"について考えていきます。

幸福とは幸福を探すことである--ジュール・ルナール

"不安"って何だっけ?[論考5]

これまでのおさらい

 これまでは特に
・不安とは何か
・不安に対する共通の気持ち
・不安の否定的側面
・不安に関する最終目標
について考察し、論じてきました。

つまり、
・不安を知り
・不安に対する私たちの気持ちを知り
・不安との向き合い方の目指すところを知りました。

不安を感じなかったら?

それでは、既に触れた不安の肯定的側面を認識するために、私たちの不安に対する共通の想いを出発点にして考えてみましょう

その共通の想いについて、[論考2]で不安という存在に対する負の感情であると述べました。

その具体的表現として、
「不安など感じなければどれだけ私の人生は晴れやかだろうか。」
「私は不安を感じてしまうほど弱い人間だ。」
「不安さえなくなれば私の人生はもっと意義深いものになるのに。
「この不必要な不安によって私は言いたいことを言えず、やりたいことをやれず、なりたい状態になれないのだ。」
をあげました。

それでは、その声に応えて、「もし不安を感じなかったら?」ということを考えてみましょう。

具体的表現としてあげた言葉によると、この答えはおそらく
 ・晴れやかになる
 ・強い人間である証拠
・意義深いものになる
・言いたいことを言える、やりたいことをやれる、なりたい状態になれる
ということになりそうです。

 

果たして本当にそうでしょうか。

 


正確に言えば、
本当にそれは今ある不安が消えることによってしか手に入らない、つまり、その不安があっては手に入るものではないのでしょうか。

私たちは、不安があることに否定的な側面のみを見出し、不安がないことに肯定的な側面のみを見出すという極思考に陥り、その考えに傾き過ぎているとは思いませんか。