"感謝"って何だっけ?[論考1]
「感謝は大切」マーケティング
近年の自己啓発ブームやスピリチュアルブームによって「 感謝は大切」という言説を耳にしたり、目にする機会が増えたような気がします。それは例えば人づてであったり、 書店でこれら関連書籍を目にしたり、 電車の広告を通して目にするといった具合です。
しかし、感謝という言葉がここまで多くの人に語られ、大衆化、マーケティング化したことによって「感謝が大切」 という表面的な言説ばかりが蔓延し、 肝心の本質部分が疎かにされているように感じてなりません。
"感謝"の語源
感謝という言葉は本来どのような意味なのでしょうか?
かん【感】1 深く心が動くこと。感動。「―に入る」2 物事に接して生ずる心の動き。感じ。「今さらの―は否めない」「隔世の―」
参照:デジタル大辞泉
参照:デジタル大辞泉
このことから、感という言葉は「物事に接して深く心が動くこと」という意味合いであることが分かります。日常生活において「私は~と感じました」といった表現を使うこともあり、親しみがあって分かりやすいのではないでしょうか。
一方、謝という言葉は意味が多いだけでなく、謝罪や感謝など熟語として使うことはあっても、それ単体で使われることがないため馴染みがないと言えるかもしれません。そこで、謝という漢字の語源から紐解いてみましょう。
謝の古代文字は以下の通りです。
これだけではなんのこっちゃ分かりかねますね。
謝は、言と射でできていて「言」は口を使って鍼灸用の針でさすようにズバリと言うことを表し、射るは張り詰めた矢を手から話すことを表しています。言葉を発することにより緊張を緩めるという意味があるそうです。
参照:漢字の語源「謝」
古代文字の一番右の形が矢に見えてきませんか?
いずれにしても「(言葉を)発する」という語源的共通点を見出すことができます。
つまり感謝とは
「物事に接して深く心が動いた結果(言葉を)発すること」
ということになりそうです。
その具体的な言葉として直観的に思いつく言葉こそ「ありがとう」ということになりそうですが、ありがとうの由来や感謝とありがとうの違いについては次回以降検証していきたいと思います。